タグ別アーカイブ: 電王戦

電王戦Final of Final

昨日の阿久津八段-AWAKE戦については一夜明けても、Twitter等で意見が交わされています。この反響は将棋ファンとしては嬉しい限りです 🙂
この一局は阿久津八段がAWAKEの弱点(一種のバグ)を突いて21手目の時点でAWAKEの作者である巨瀬さんが投了したわけですが、対局後の巨瀬さんのコメントが悪かったのが、ホント残念でした。悔しいのはわかりますが、阿久津八段の選択を非難するのはおかしな話です 😕
この対局後の記者会見を聞いて思うのは、全員が電王戦の趣旨をもう一度理解することが必要だということです。私が思うに当然「真剣勝負」が前提なわけで、これがなければ電王戦は成立しないと思います。なので阿久津八段の選択は正しいですし、巨瀬さんは投了しなくても良かったんじゃないかな~ 😕
あと公平性に関する議論もあったのですが、答えを見出すのは難しいですね。私もプログラマーの端くれとして、何等かの形でバグを修正できるルールは必要だと思うのですが、それによってアルゴリズムを大きく変えてしまう可能性もありますし、事前貸出についても意見が分かれるのも理解できます。ドワンゴの川上会長が仰っていた通り、「電王戦は異種格闘技戦」、ルールについては今後も議論が必要でしょう 😕
第2局の永瀬六段の角成らず、第4局のPonanzaの新手発見、そして第5局の21手投了と、いろいろなことがあり過ぎた電王戦Finalでしたが、主催してくれたドワンゴにはただただ感謝です。何らかの形でコンピュータ対人間の勝負は続けていけるとイイな~ 🙂

われ敗れたり

今日の電王戦FINAL第2局の結果について一部の方から批判的な意見が出ていることに非常にがっかりしています 😥
永瀬六段がSeleneの弱点を突いたのは確かです。但し、これについては今から約3年前に故米長永世棋聖が言及しています。私は将棋の普及に努められた米長先生を尊敬していますが、米長先生がボンクラーズとの戦いについて書いた「われ敗れたり」のP56~58にこんなことが書いてあります。以下は抜粋。

そしてこの詰将棋の正解手順は、その中の答えの一つ、「2三角成らず」が正解です。成ってしまうと詰まないのですね、(中略)このたった七手の詰将棋、弱い人でもちょっとヒントをもらえば「そうか」と解けそうな詰将棋が、どういうわけかボンクラーズには解けないのです。(中略)「成らないほうが得になる」というケースが計算に入ってないんですね。これはボンクラーズの欠点の一つです。

米長永世棋聖vsボンクラーズは電王戦を語る上で非常に大事であり、「新米長玉」といわれる2手目6二玉に代表されるように米長先生が命をかけて勝利を掴もうと戦った対局です。ニコニコ生放送でも100万人が見守ったと言われていますし、この本を読まれた方も多いと思います。
私が言いたいのは「成らず」への対応は既知の問題だということです。Seleneについては西海枝は潔く負けを認めてくれましたし、何より意図をもって飛角歩の「成らず」への対応を外してあったわけで、私は何も言うことはないです。そして既知の弱点を突いた永瀬六段に罪はないということを将棋を愛するすべての人に知ってほしいと思います。電王戦、ホントすばらしいな~ 🙂

電王戦FINAL第2局は永瀬六段の勝利

今日は時間に余裕があり、一日かけて観戦させてもらいました。ニコニコ生放送とTwitterを利用しながらの観戦でしたが、双方向のコミュニケーションや電王戦ならではの派手な演出も重なって、久しぶりにゆっくり将棋を楽しめました 🙂
肝心の対局は先手Seleneが変則的な駒組みから右玉を、永瀬六段が居飛車+銀冠を選択し、熱戦になりました。中盤Seleneが駒得したものの、永瀬六段が飛車をうまく使ってSeleneに角金交換を強要し、なおかつ端攻めから優位を築き、最後はSeleneのバグを突く「2七角不成」。Seleneは王手なのにこれを認識できずに放置して、投了となりました。
永瀬六段の「2七角不成」には賛否両論あると思うのですが、個人的にはこれで良かったと思っています。永瀬六段はかなりの時間をかけてSeleneを研究したわけですし、Seleneも既知の問題としてこれを放置したわけですから。また、仮に「2七角成」を永瀬六段が選択したとしても、優勢は動かなかったでしょう。Seleneを開発した西海枝も潔く不具合を認めてくれましたし、すばらしい対局になりました。
深くSeleneを研究した永瀬六段、Seleneを開発した西海枝さんには感謝の気持ちでいっぱいです。本当にありがとう、そしておつかれさまでした 🙂
ただ、それにしても「2七角不成」には私だけでなく、ニコニコ生放送を見ていた全員がびっくりさせられたな~ 😯

3月21日、プロ棋士と将棋ソフトによる5対5の団体戦「将棋電王戦FINAL」の第2局・永瀬拓矢六段対Seleneの対局が行われ、Seleneがプログラム上の問題で「角成らず」を認識できず反則負けになるという異例の結末を迎えました。
 将棋は一進一退の攻防が続きましたが、終盤、永瀬六段が王手で「2七角不成」という手を指したことで解説陣やニコニコ生放送の視聴者から大きなどよめきが。成ることで明らかに駒が強力になる「飛車・角・歩」は、「打ち歩詰め」という反則を避けたいというごく一部の例外を除き、実戦ではまず登場しない異例の手。そのためSeleneにはこの3駒の「成らず」がプログラムされておらず、別の指し手を入力してしまったため、「王手放置」で反則負けと判断したとのことです。
 コンピュータ将棋ソフトは無駄な手を読むことを省略することでより深く手を読めるため、一部の駒の「成らず」を認識する機能を搭載しないソフトもあるそうです。永瀬六段はこの問題を事前の研究段階で認識しており、この手を指した直後に「角不成りを認識できないと思います」「放っておくと投了するのでは」と指摘。ただし、「勝敗に直結するので本番では修正されているかもと思っていた」ためこの局面で選択したとのこと。普通に指した場合でも永瀬六段の勝ちは有力だという局面で、終局後には大盤解説会場で詰みへの読み筋なども披露していました。

電王戦FINAL

詳細が徐々に明らかになってきましたが、電王手さんの動画を見てかなりテンション上がりました。しかも今回は全国各地の歴史の名所で行われるのも、個人的には気に入りました。特に五稜郭での一局をアレンジしてくださった方には大感謝です。ひょっとしたら崖っぷちかもしれない第3局で五稜郭、歴史の上では劣勢の旧幕府方がそのまま敗れましたが、電王戦では稲葉七段が反撃の狼煙をあげてくれると信じています 🙂
全対局とももちろん注目ですが、その中でも永瀬六段が気になるかな~。去年は豊島七段がプロの意地を見せてくれましたが、永瀬六段にも期待したいところです。楽しみだな~ 🙂

第3回 電王戦は1勝4敗でプロが完敗

屋敷九段まで負けてしますとは、コンピュータは強くなりましたね 😕
個人的には屋敷九段と豊島七段は勝つと思っていたので、少し残念でした。まあ、これは事実なので、プロ側にはこれを受け入れて前に進んでほしいと思っています。
気になるのは次回ですよね。この流れで行くと、若手の有望どころで広瀬八段、中村太地六段あたり、大将では佐藤九段あたりが出てくるのではないでしょうか。タイトルホルダーが出れば、もちろん盛り上がりますが、渡辺二冠、森内二冠、羽生三冠と後世に名を残す三人だけに、すぐに出すことはできないでしょう 😕
来年以降も楽しみです 🙂

 将棋のプロ棋士とコンピューターソフトによる5対5の団体戦「第3回電王戦」第5局が12日、東京都渋谷区の将棋会館で行われ、先手の屋敷伸之九段(42)が130手で「ponanza(ポナンザ)」に敗れた。団体戦は棋士側の1勝4敗という完敗で幕を閉じた。
 死闘の末、コンピューター独特の指し回しに屈した屋敷は、「どのソフトもレベルが上がり、厳しい結果になりました」と振り返った。ポナンザ開発者の山本一成さんは「コンピューターはどれも強くなっています」と語った。
 第1回からの通算成績は棋士側の2勝8敗1分け。圧倒されている現実の中、日本将棋連盟の谷川浩司会長は第4回について「現時点では決まっていませんが、続けたい気持ちはあります。プロもまだまだだと思っているので」。主催するドワンゴの川上量生会長は「コンピューター側の勝ち逃げというわけにはいかない」とし、「(森内俊之竜王・名人、羽生善治3冠、渡辺明2冠の)タイトルホルダーの出場に十分な環境をつくれるなら、ぜひ実現させたい」と前向きに話した。